金澤散歩 黄昏歴史散歩


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過ごしやすい季節になりました。汗ばむような昼間の日差しが和らぎ、曇りがちな夕暮れせまる兼六園周辺を歩きました。
歩き慣れた八坂の途中から小立野方面を仰ぎ見ると、左手の石垣は奥村家の屋敷の石垣を思い起こさせるように古色を帯びて、藩政期の金沢らしい風情が感じられました。

松山寺の土塀に沿った石段に導かれるように坂下を眺めると、夕暮れせまる町家はいつもより小さくなったように見えました。

名園周辺は観光客の人影もなく、いつものように静謐に包まれていました。


石川橋の欄干の灯火がほんのりともり、沸き立つ雲を背景にした城門の櫓は時を得て、少し不気味な雰囲気をかもし出しているように見えました。

紺屋坂を下って、北に向かうと「旧東内惣構堀」の石碑に出会いました。加賀藩二代藩主前田利長が慶長四年に高山右近に命じて掘らせた内堀であるとの説明が彫り込まれていました。今では大部分が暗渠となった東内惣構堀ですが、この石碑の周辺は暗渠の蓋が外されて石垣の一部を垣間見ることができます。草に覆われた古い石垣の跡からは、金沢城の堅牢な防衛線の一つとしての内惣構堀の面影を偲ぶことができます。

この東内惣構堀の南側、金沢城側にはお土居が盛り上げられ、竹藪が配されていたが、今その面影は殆どないとの説明がありました。
半世紀以上も昔、ここには自転車屋さんがありましたが、その頃も、この周辺にはお土居も竹藪もありませんでしたが、今この地に立って目を閉じると、堀やお土居、黄昏時の曇り空を背景として風になびくお土居の上の竹藪の風景が、私の脳裏に浮かんできます。見たこともない遥か昔の金沢の風景は、夢なのかうつつなのか、この季節の黄昏時の金澤散歩は、歴史の不思議に出会える散歩だったのかも知れません。

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