金沢春雨 摩利支天散歩


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桜花爛漫の日々もたちまちの内に過ぎ去り、今日は無常の春雨の中、卯辰山散策コースを宝泉寺からひがし茶屋街付近まで歩きました。
暖かな雨に濡れる木々や草花は「黄砂」の汚れもすっきりと洗い流して、新鮮な耀きを取り戻していました。
   門前に「文句・言うな」と大きく書かれた摩利支天山「寳泉寺」の境内に入り、桜の花弁をまとった石仏に見守られながら、標高約50mの高台に立つと、雨に烟る金沢の町並みを間近に眺望することができました。


城下町金沢をつぶさに見下ろすことができ、金沢城方面を鬼門正面方向から遠望できるのは卯辰山の中でも、この摩利支天山の高台だけです。

戦略的な意味もあって、藩政時代は入山を禁止されていた卯辰山ですが、城下町金沢の眺望を楽しむとしたら、早朝の摩利支天の高台がベストポイントだと思ったのは、40年以上も前のことです。
春雨に烟る金沢城方面を眺めていると、すべてを包み隠す「隠形の力」を持つ武神「摩利支天」をこの地に勧請して、城の鬼門と危険な戦略拠点を敵の目から隠そうとした、加賀藩二代藩主利長公の思いが伝わってきます。

雨に濡れながら足を延ばして山道を登っていくと、烟霞の中から浮かび上がる老木の枝に、散り残った桜花は晴れの日には見せることのない不思議な美を湛えていました。山辺の路や水面に降り積もった薄紅色は、妖艶な趣を漂わせて、かつて鏡花が描いた美しい異界へと誘っているかのようでした。


観光客が戻ってきた「ひがし茶屋街」も、今日は雨に降り込められて少し寂しげでしたが、ほんのりと灯された雪洞(ぼんぼり)の明かりは、茶屋街らしい華やかさを感じさせてくれました。

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jsnadmin 7

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shio-g
  • shio-g

1件のコメント

  • 桜は満開ばかりでなく散り始めも美しいです。花衣の仏様も嬉しそうです。桜の季節をもう少し楽しみたいです。

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