馬坂登坂 金澤散歩


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久しぶりに、馬坂を登ってみました。金沢の中心となった金沢城は、平野に突き出た尾根の先端部に築城されました。そのため、平野部から、お城へと続く尾根上の小立野との往来のため、金沢には多くの坂道ができたようです。馬坂もその一つです。

今も小立野は急な斜面が続き土砂崩れを防ぐ工事が続けられていますが、半世紀前は鬱蒼とした竹林や自然林に覆われ、大雨の時には不安を感じた向きもあったように記憶しています。

さて、坂の途中にある銘文には、昔、農民が小立野へ草刈りに馬をひいて登ったのでこの名が付いたとあり、六曲り坂という別名も紹介されていました。

坂道の途中に友人宅があったため、この坂は身近な坂でした。市内ではまれな急登で、中ほどより上は木々も古色を帯びて、異界を彷彿とさせる神域的な雰囲気がありました。眼病治癒の伝説があり、曾祖母が汲んだという滝の跡と不動尊を祀る祠は今も残っています。

久しぶりに馬坂を登ってみると、いつも鳶が一羽休んでいた榎木の老木が忽然と消え失せ、今日は新しい切り株になっていました。年輪からは樹齢は百年以上に及ぶものと思われました。

道端には「天保九年(1838年)の「南無阿弥陀仏」の供養塚らしきものがありました。
古木も路傍の塚も、そして人々も、時の流れの中でおぼろにかすみ、やがて透明になっていく時間の幻影がそこはかとなく浮かんで来ました。

坂を登り詰めると、金沢西国二十九番の霊所でもあり、「一つ灸(ひとつやいと)」で有名な高源院がありました。


少し離れた宝円寺裏からは、田井町方面や奥卯辰山方面をつぶさに見渡すことができました。

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shio-g
  • shio-g

1件のコメント

  • 金沢は坂道が多いです。名前の由来となった遠い昔の情景を思い描きながら歩くのも趣があります。登った後の素晴らしい景色はご褒美ですね。鳶もお気に入りの眺めのいい場所を見つけているでしょう。

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