金澤 梅雨の夕陽散歩


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そろそろ1年も折り返し地点近くになりました。正確には4日後が、元旦から数えて183日目になるようですが、当日に筆を執るとは限りません。たまたま昨夕の夕陽を眺めながら、そんな思いが脳裏をかすめていきました。

この時期、金沢で美しい夕焼けを眺めるには、泉鏡花が少年時代に歩いた浅野川べりがベストポイントの一つです。巨木が佇立する静明寺を対岸から眺め、転じて天神橋から薄墨色の夕焼けのグラデーションに魂が吸い込まれます。

時は梅雨、早朝の露に濡れた青苔の起伏を、つぶさに眺めていると、針葉樹に覆われた奥山の山岳地帯を彷彿とさせてくれます。

庭先に咲いた夏椿の純白のワンポイントは、盛者必衰の無常観を漂わせています。祇園精舎の沙羅双樹とは別物だとはいうものの、夏椿の純白の花弁は、独特な陰影を秘めて、この世ならぬ深みを漂わせているのです。

金沢駅まで足を延ばすと、観光客の増加に驚きを感じます。コロナ禍の終焉が近づいているのでしょうか。

「そぞろ神のものにつきて心を狂はせ」と言った芭蕉の言葉が不意に脳裏をよぎると、ベネチアの喧噪や黒いマリア像が、「そろそろ冥土の土産を増やしなさい」と、密かにささやきかける。そんな妄想が広がる金澤散歩の折り返し地点に近づいています。

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